2010年7月25日日曜日

村崎百郎の死について


「俺もヤキがまわったな。」
最後はそう思って倒れたかも知れない。

昨日、村崎百郎という作家が一人の精神病の男に殺されるという訃報を目にしました。
この人はいわゆる”電波”なるものを受信していると公言してました。まぁこのことから普通の人間ではないのが分かります。おそらく精神病であったんでしょう。しかし”電波”を乗り越え克服、自分を客観視してそれを作家活動に活かすなどしておりました。この「電波系」の著書を読んでいると、そういう得体の知れない”電波”なるものにいかに苦しめられていたか、そもそも”電波”とは何なのか何となくではありますけれどこの本で知る事が出来ます。

彼はゴミ漁りをしてました。鬼畜でした。傷害事件を起こしていました。
曰く、ゴミ漁りにはプロとアマがあって彼はアマチュアであったらしいです。ゴミから拾った相手の素性を探り当てたり想像するのが楽しいと言うはた迷惑な趣味を持ってました。アパートを越すごとに、入居して一ヶ月は住人のゴミを片っ端から調べてたと、根本敬の「人生解毒波止場」で告白しています。(怖いですねw) また幼少期に死にかけた時に神秘体験をし、体に邪悪なるものが体に入りそれ以来”電波”とイジメにあっていた少年が凶暴になったと言ってます。そして「自分を犠牲にして生きるくらいなら加害者になれ」という確固たる哲学を持つ鬼畜となったそうです。

そんな一方で、聖書から文学作品はいうに及ばず、哲学者、精神医学、絵画、漫画から殺人者まで、カルトという枠を超えて意外に博学でもありました。鬼畜とは言っていても人の心を失くしたただの乱暴者とは違い他人を思いやる気持ちもある人なのは端々から窺い知れます。自分の体験からも心の病気に苦しんでる奴、弱い奴の立場からものの言える人物でした。特異ではあるけれども考え方は大変ユニークかつユーモアに富むという稀有な方でした。 

この「電波系」から彼の言葉を抜き出し書きます。
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俺は”完璧に正常な人間”というのも妄想の一つだと思っているので、この現代社会こそが「巨大な解放病棟」だと考えて生きている。だから、いつどいつが発作を起こしてトチ狂って、俺を殺そうと向かって来るとも限らないし、それに対する覚悟はつねに持って生きているのだ。文明社会じゃなくてジャングルで暮らしているような心持で送る日々の生活はそれなりに緊張感があって楽しいもんだ。

・・・・などという意見は正常と呼ばれる連中からは「ふざけるな!」の一言につきるんだろうが、キチガイの俺に言わせりゃ、通勤ラッシュだとか会社の派閥や学閥だとか、イジメとか受験だとか、ひたすらお互いの憎悪を増幅し合い、ストレスを高めあってるような社会の現状こそが人間の発狂を促進しているような気もする。社会が複雑になれば人間関係も複雑になり、キチガイの発狂状況も複雑になってくることだろう。「人の数だけキチガイがいる」というのは冗談でも何でもないのだ。だから、われわれは腹をくくって生きるしかない。狂人を野放にしても共同体全体が余裕でそれを許容できるような、そんな”豊かな”社会はやっぱりアタマの中だけの理想で、現実には不可能に近いんだろうけど、それでも心に余裕のある奴はぜひとも「キチガイどもにとっての幸福な状態というのはどんなことだろう」という命題についてじっくり考えてくれ。それはあんたたち正常な連中の幸福にも関わる重要な問題だと思う。甘えたことを言うようで悪いけど、完璧な治療設備や福祉制度を制定するだけでは、俺を含めたキチガイの魂は決して救われない。陳腐な言説だけど、人の心を救うのは最終的には法や制度ではなく、やっぱり人の心なんだろう。それはキチガイ鬼畜な俺には到底無理な話だから、やりたい奴は勝手にやりな。

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改めて読むとやりきれない気持ちになります。
彼はキチガイに理解は示しつつ、何の罪もない善人がある日突然に、精神に支障をきたしたどうしようもない奴らの為に犠牲になる事件がある度、その理不尽を嘆く優しい人でした。そして今回、皮肉にも彼らの「がわ」に立ってきたはずの村崎百郎がその精神病のどうしようもない奴に刺され亡くなるという最悪の悲劇に見舞われました。彼が善人であったとは言いません。けれど彼が生きていれば救える者もいただろうし、どんな形だって社会に貢献できる才能もありましでしょうから、それがこんな風に犠牲者になってしまうとは言葉もありません。世間では取り上げられないマイナーな出来事なんでしょうけど、ファンである私にとって今年はこれ以上のショッキングな事件はもう無いでしょうね。ドイヒーな世の中だと嘆くしか。。

村崎百郎のサイトはこのブログ左下にもリンクしていますので鬼畜電波野郎に興味のある方はご覧下さい。唐沢俊一との対談は毎回楽しみにしてました。

ご冥福をお祈りいたします

2 件のコメント:

  1. marinoちゃん2010年7月26日 5:53

    村崎百朗氏の事
    私は 今迄 存在さえ知りませんでした
    地獄車さん紹介のブログに行って参りました
    今知ったばかりなので 偉そうな事は ひとつも言えませんが
    彼が「やさしい人間」だったと言うのは分かる気がします

    『三島由紀夫』と 対極の人生を送ってこられたようですが
    何故か共通項があったような想いで 「三島」の名が浮かんできました
    私の思い違いかもしれませんが

    地獄車さんが 村崎氏の 良き理解者だという事実は
    彼岸の向こうで きっと彼は 喜んでいると思いますよ

    村崎氏の ご冥福を 心よりお祈り申し上げます

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  2. |´・ω・)ノ マリノさん、おこんばんは

    まず、理解しがたい長々とした文章を読んでくださって有難うございます。 m(_車_)m サイトを見てびっくりされたのでは? (^_^; 彼はカルト界の業界人ですから知らないのが普通だと思います。不勉強で三島さんの事はよく知りませんが、マッチョ的というくくりであれば似ているような・・・。

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